夢日記2(シルバー内藤戦記)

1.
近時、年間通して断続的な豪雨が村を襲っていた。
雨量が老朽化した排水施設の処理能力をゆうに超えていたため、村は度々浸水状態に陥っていた。
長老はこれを「444年に一度の異常気象」だと解説した。

泥の匂いと生乾き状態から生じる雑菌の匂いが村中を包んでから約90日が過ぎたころ、年配の先輩勇者が「旅の巻物」を持ってきて僕に言った。

「旅へ出る準備をしろ、もしかしたらチャンスかもしれんぞ!」

僕はシカトした。

次の週にも彼はやってきて言った。

「ここの飯はおごりだ、ケチなワシがおごってやるんじゃぞ!さらにご褒美をあげてもいい。さあ旅へ行こう」

僕は再びシカトした。
ドケチで有名な先輩がご飯を奢ってくれるだなんて奇跡的なことではあるけれど。

彼は、僕が残した魚の頭部を口に放り込むとすっと席を立ち会計を済ませにいった。
店を出た後、僕は彼に自分の食事分のお金を手渡した。

<そういう問題じゃないんだよ>

年上だとか先輩だとか、そういった理由で奢ってくれるというなら、ありがたく受け取るけれど 笑
「討伐の旅」はそういう問題じゃ…ない。

僕は「討伐の旅」の神聖さを失いたくなかった。

 

やるとしてもやらないとしても、それは僕が決めることだ。

2.

―― 負けると確信している戦いに一体どういうモチベーションをもって臨めるというのだろう? ーー

・・・・・・
あれから百と数日が過ぎた後、僕は水浸しでうつ伏せになった魔獣の前に立っていた。
<切傷が致命傷となったことはたしかだけど、ただ、この水浸しの状態、、まるで溺死したみたいだよな……>

測量官のおじさんが魔獣の大きさを測り、村役場(広報課)のお兄さんが僕の写真を撮ってくれた。
魔獣を背景に無表情で立っている僕の写真は、新しい「討伐の記録」となった。

僕の「確信」よりも信ずるべきものがあったということなのかもしれない。

「ふははっ!このワシがおごってやるとまで言ってススメたんじゃぞ~~~感謝しろおおおおお!あと、飯奢ってなーーーご褒美くれーーー」

年配の先輩勇者はそう言って、ゲラゲラと笑った。

一カ月は休みをとるつもりだったけれど、回復には3週間程度で十分だった。
旅の疲れを癒しながら眠り続けている間、僕の身体は少しずつ軽くなっていった。疲れと一緒に僕の精神にこびりついた「こだわり」のようなものも一緒に削げ落ちていって心もいくらか軽くなった。

国王から授けられた討伐達成のトロフィーを眺めることで自分の正しさが証明された気がした。
けれども、やはり今回も旅の過程で多くのものを失ってしまってもいた。
僕から手放したものなんて何一つとしてないのに、……結局失ってしまった。

<ただ、その罪(罪なのか?)はこの名誉を前にして全てが免責されるだろう。
結果の良さは正しさの証明だ。誰からも責められたくなんてないね!>

、、全てが許された気がした。

なんだか情けない気がするけれど、この「許し」が、今の僕にとって唯一の救いになっている。

3.

討伐から数か月が経った某日……

”あの夢でみた”雪はすっかり溶けていた。
相変わらず、階段を上がると神社があり、森の奥には訓練所があった。
この神社は”猫寝神社”ではないし、”死体が浮かびあがる池”もここには存在しない。

高台から見える村の姿を一瞥した後、僕は森の奥へ進んだ。
未だ(度々)浸水状態にある村とは異なり、高台にあるせいでここはそれほど豪雨の影響を受けてはいないようだが、そうは言っても草木の葉の上には無数の水滴があり、森は全体的に湿気ていた。

草木をかき分けながら2キロほど進んだ先に僕は角の取れた丸い大きな石をみつけた。
懐かしさがこみあげてくる。
石の上に付着したホコリを払うと彫られた無数のTEXT(呪文)が顔を出す。
「書いては消して」が繰り返されたせいで、これらの呪文は今、簡単には解読できる状態にはない。

<数億にも及ぶ死んだTEXT…>

TEXTを弔うように僕はかたく目を閉じた。
いろいろなことを思い出すと、心がどんどん冷たくなっていって、ともすれば意識を失いそうになる。
石に刻まれた文字は傷のようにも見える。
ただ、それと同時に石にはまるで「魔力の根」が集まっているように感じられないでもなかった。そこには強い力が宿っているような気がした。

「シルバー内藤さんは、あの人と同じような体験をされたのですね」

振り返ると、数人の村人たちが居た。
優しい髪色の村人は微笑みながら続けて言った。

「お腹空きません? そろそろモーニングの時間ですよ」

僕は石に特殊なシールドを施し、もとの場所に戻すと、村人たちの方へ駆け寄っていった。

 

<朝ご飯。サンドウィッチモーニングとエッグモーニングのどちらにするべきか…!?!>

 

 

つづく??????

 

約1年前に書いた「夢日記」のつづきを
勝手に書いてみました。
夢日記は夢(夢ノンフィクション)ですが、この文章はフィクションです。
何が言いたいのか、全くわからない感じですけど、それは許してください。
文章指導出来る方は、文章指導よろしくです 笑。